2010-07-19

湘南新宿ライン グリーン車での我が闘争 2

某年某月某日(平日)朝7時前、最上の時間に私は大船駅に降り立った(当初計画では逗子から乗車の予定だったがいろいろ大人の事情があったのだ)。
(2)の奴らの気に触る事を片っ端からやってやろう、しかも私独りで、というのが今回の目的であるため、有給を取得さえして、敢えて平日朝のこの時間に発射する大船始発湘南新宿ライン宇都宮行きを選んだのだ。
ということで、そのための武器を大船駅内で調達する。

大船駅は意外にも大きな駅で、こんな早朝というのに駅ビル内の店舗は殆ど全て営業している(というか、ワタクシ実は20歳代前半の数ヶ月、大船から新宿まで通勤していた事があるが、こんな大きな駅ではなかった記憶がある。その頃湘南新宿ラインがあれば便利だったのに)。
従って、武器の調達には事欠かない。

a)食事計画
サンドウィッチ(因に、日本で最初にサンドウィッチ弁当が発売されたのは、ここ大船駅らしい)という大人しいものは当然不可であり、可能であれば出来立ての、出来るだけ香り立つおかずが下品なまでに充満したものを選びたい。
イメージ的には、安手の幕の内弁当が最も良いが、鰻弁当・加熱式のカレーライス・キムチチャーハン等のアイテムでもOKだ。
要するに、上品な車内に下品な香りが漂えば何でも構わない。
だが、そういった趣味の悪いアイテムを見つける事が出来ず、結局、何とか言う名前のデリで、唐揚げとかキムチ等の出来るだけ香り高いものを仕入れて弁当とした。

b)飲酒計画
道中は長く、宇都宮まで約3時間30分の旅だ。
従って、飲酒計画も何段階かに分けて検討しなければならない。
しかも「(2)な奴に顰めっ面を向けられている事にも気付かない程に浮かれている中年の観光客」を演出するために最適なアイテムをそろえる必要がある。
そろえる必要はあるにはあるが、しかし酒飲みとしては最初はやはり手堅くビールによる乾杯から始めたい(誰と?と訊くあんたは篦棒に無粋だ。一人でも、車窓に映る自分に向かって乾杯可能だ)。
ということで、平時にあっては田村正和氏が応援する所の偽ビールしか飲用しないにもかかわらず、今回は贅沢にもヱビスビールサントリープレミアムモルツ350ミリリットル各1本を入手。
次は日本酒。
実は私は大の日本酒愛好家なので、旅のお供には出来るだけ美味い酒を選択したい。
しかし今回は別だ。
浮かれている中年観光客が選びがちなアイテムを選ばねばならない。
それは何か?
答えは簡単。
ワンカップ大関」及び「黄桜 KappaCup 200」だ。
ビール終了後すぐに、これらのアイテムに移行するのだ。
と思っていたのだが、黄桜がない。
致し方なく、ワンカップ大関×2という態勢で代用する事にした。
そして最後。
観光に浮かれた中年は、普段やらない行動をとりがちだ(かく言うワタクシも、普段は呑まないプレミアムビールを購入したが、この行動がまさにそれだ)。
それに相応しく、不覚にも名称を忘れたが、何とか言う名前のチリワイン小瓶及びプラカップを1本入手。
これらを宇都宮到着までに全て飲み干すプランである。
独りでな。

3)読書計画
言うまでもなく、週刊大衆及び東京スポーツは必須アイテムだ。
理想的にはこれらに加え、
フランス書院の文庫本
・その他成人限定のエロ漫画雑誌
があれば完璧である。
しかし流石に後者2アイテムは、朝の明るいお陽様が光り輝く駅構内では、尋常な精神状態のままで入手することは極めて困難であり、やむなく前者2アイテムのエロページを出来るだけ見続ける事で代用することとした。
さらに、これは現場で思いついたのだが、(2)な奴らが最もバカにする雑誌媒体があるのだった。
それは「るるぶ」「まっぷる」等の旅情報雑誌だ。
皆さん、初めての観光地に行った時にこれらの雑誌を広げるのに抵抗を感じた事はないだろうか?
他人から「あいつはここの事が右も左も上も下も解らない田舎者だ」と思われるのが嫌で。
しかし、広げて調べないと、あなたは次に進めない。
そんでもって、物陰に隠れてこっそりと広げたことはないだろうか?
そしてそんな時、とてつもないアウェー感に襲われないだろうか?
そのアウェー感は、まさに、その観光地にいる(2)に相当する奴らからもたらされるものである。
(2)な奴らは、至る所に蔓延しており、あまつさえ場所や立場が変わっても、本質は変わらない。
そして、「るるぶ」や「まっぷる」を広げている田舎者を見つけると、冷笑を浴びせる。
しかし今回ワタクシは、奴らのその習性を逆手に取り、(2)な奴らを撃破して行く。
ということで「るるぶ栃木」を追加購入。
出来るだけ大きな音で「るるぶ」のページをめくり、付属のデカい地図を席の横幅一杯に広げ、大きな声で「へぇー、こんな餃子屋もあるんだー。こりゃ絶対行かなきゃだなー」等と独り言を言い、そのあいまに週刊大衆のエロページを鑑賞するという究極の攻撃を仕掛ける事に決定した。

これで全て武器は整った。

各種武器の詰まった背嚢(嘘です、レジ袋)によって肩が抜けそうになりながら、湘南新宿ライン宇都宮行きのホームに向かって、独りのソルジャーが歩んで行く…

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