2010-07-19

湘南新宿ライン グリーン車での我が闘争 2

某年某月某日(平日)朝7時前、最上の時間に私は大船駅に降り立った(当初計画では逗子から乗車の予定だったがいろいろ大人の事情があったのだ)。
(2)の奴らの気に触る事を片っ端からやってやろう、しかも私独りで、というのが今回の目的であるため、有給を取得さえして、敢えて平日朝のこの時間に発射する大船始発湘南新宿ライン宇都宮行きを選んだのだ。
ということで、そのための武器を大船駅内で調達する。

大船駅は意外にも大きな駅で、こんな早朝というのに駅ビル内の店舗は殆ど全て営業している(というか、ワタクシ実は20歳代前半の数ヶ月、大船から新宿まで通勤していた事があるが、こんな大きな駅ではなかった記憶がある。その頃湘南新宿ラインがあれば便利だったのに)。
従って、武器の調達には事欠かない。

a)食事計画
サンドウィッチ(因に、日本で最初にサンドウィッチ弁当が発売されたのは、ここ大船駅らしい)という大人しいものは当然不可であり、可能であれば出来立ての、出来るだけ香り立つおかずが下品なまでに充満したものを選びたい。
イメージ的には、安手の幕の内弁当が最も良いが、鰻弁当・加熱式のカレーライス・キムチチャーハン等のアイテムでもOKだ。
要するに、上品な車内に下品な香りが漂えば何でも構わない。
だが、そういった趣味の悪いアイテムを見つける事が出来ず、結局、何とか言う名前のデリで、唐揚げとかキムチ等の出来るだけ香り高いものを仕入れて弁当とした。

b)飲酒計画
道中は長く、宇都宮まで約3時間30分の旅だ。
従って、飲酒計画も何段階かに分けて検討しなければならない。
しかも「(2)な奴に顰めっ面を向けられている事にも気付かない程に浮かれている中年の観光客」を演出するために最適なアイテムをそろえる必要がある。
そろえる必要はあるにはあるが、しかし酒飲みとしては最初はやはり手堅くビールによる乾杯から始めたい(誰と?と訊くあんたは篦棒に無粋だ。一人でも、車窓に映る自分に向かって乾杯可能だ)。
ということで、平時にあっては田村正和氏が応援する所の偽ビールしか飲用しないにもかかわらず、今回は贅沢にもヱビスビールサントリープレミアムモルツ350ミリリットル各1本を入手。
次は日本酒。
実は私は大の日本酒愛好家なので、旅のお供には出来るだけ美味い酒を選択したい。
しかし今回は別だ。
浮かれている中年観光客が選びがちなアイテムを選ばねばならない。
それは何か?
答えは簡単。
ワンカップ大関」及び「黄桜 KappaCup 200」だ。
ビール終了後すぐに、これらのアイテムに移行するのだ。
と思っていたのだが、黄桜がない。
致し方なく、ワンカップ大関×2という態勢で代用する事にした。
そして最後。
観光に浮かれた中年は、普段やらない行動をとりがちだ(かく言うワタクシも、普段は呑まないプレミアムビールを購入したが、この行動がまさにそれだ)。
それに相応しく、不覚にも名称を忘れたが、何とか言う名前のチリワイン小瓶及びプラカップを1本入手。
これらを宇都宮到着までに全て飲み干すプランである。
独りでな。

3)読書計画
言うまでもなく、週刊大衆及び東京スポーツは必須アイテムだ。
理想的にはこれらに加え、
フランス書院の文庫本
・その他成人限定のエロ漫画雑誌
があれば完璧である。
しかし流石に後者2アイテムは、朝の明るいお陽様が光り輝く駅構内では、尋常な精神状態のままで入手することは極めて困難であり、やむなく前者2アイテムのエロページを出来るだけ見続ける事で代用することとした。
さらに、これは現場で思いついたのだが、(2)な奴らが最もバカにする雑誌媒体があるのだった。
それは「るるぶ」「まっぷる」等の旅情報雑誌だ。
皆さん、初めての観光地に行った時にこれらの雑誌を広げるのに抵抗を感じた事はないだろうか?
他人から「あいつはここの事が右も左も上も下も解らない田舎者だ」と思われるのが嫌で。
しかし、広げて調べないと、あなたは次に進めない。
そんでもって、物陰に隠れてこっそりと広げたことはないだろうか?
そしてそんな時、とてつもないアウェー感に襲われないだろうか?
そのアウェー感は、まさに、その観光地にいる(2)に相当する奴らからもたらされるものである。
(2)な奴らは、至る所に蔓延しており、あまつさえ場所や立場が変わっても、本質は変わらない。
そして、「るるぶ」や「まっぷる」を広げている田舎者を見つけると、冷笑を浴びせる。
しかし今回ワタクシは、奴らのその習性を逆手に取り、(2)な奴らを撃破して行く。
ということで「るるぶ栃木」を追加購入。
出来るだけ大きな音で「るるぶ」のページをめくり、付属のデカい地図を席の横幅一杯に広げ、大きな声で「へぇー、こんな餃子屋もあるんだー。こりゃ絶対行かなきゃだなー」等と独り言を言い、そのあいまに週刊大衆のエロページを鑑賞するという究極の攻撃を仕掛ける事に決定した。

これで全て武器は整った。

各種武器の詰まった背嚢(嘘です、レジ袋)によって肩が抜けそうになりながら、湘南新宿ライン宇都宮行きのホームに向かって、独りのソルジャーが歩んで行く…

2010-07-18

湘南新宿ライン グリーン車での我が闘争 1

ここに詳しく書かれているように、静岡県内における東海道本線は3両編成の無個性で地味な電車が時々走っているただのローカル線ライクな感じで、特に乗りたいとも思わないチンケな存在ですが、神奈川県に入るとその姿はグリーン車付きの15両編成という堂々たる姿に変貌します。
初めてそれを見たときは大変驚き、また、関東方面への放浪のため熱海で乗り換えた時は「やっぱ関東はすげえ。世界の壁はとてつもなく高くて厚いぜ」と思いました。
15両もの大編成にも関わらずあっという間に乗客がゴミのように溢れかえして行く様をみて私は「お、これは首都圏でなにか世界的なイベントがあるに違いない」と思った程です。

で、そのE231系電車のグリーン車に乗りたかった訳ですが、そのために選んだのが東海道本線ではなく湘南新宿ラインというのはあまり意味がありません。
湘南新宿ラインを選んだのは、まあ強いて言えば、たまたま横須賀線方面で所用があり、同じE231系が走っている湘南新宿ラインの始発である逗子駅に行きやすかった、その程度です 。

では、なぜグリーン車なのか。

こちらは明白。
グリーン車内で「田舎もん」を演じてみたかったからであります。

乗る前からだいたいの想像はついていたのですが、例えば湘南新宿ラインのグリーンに乗るのは、
(1)普通車が満員で、疲れているので仕方なく乗る上場企業正社員
(2)普通車がどんなにガラガラでも恒常的に乗っている似非金持ち
の二者で殆どが占められており、その合間を縫って、
(3)宇都宮餃子を食べに行く観光客
(4)鎌倉大仏を見に行く観光客
が割り込んでいる状況だと思われる訳です。

言うまでもなく、個人的には(2)の人種がワタクシが最も忌み嫌うところの存在であり、そういう奴らは乗り込むやいなや、例外なく最新型のノートPCWindows7使用)を開いて仕事をしてる振りをしています。
全く篦棒に嫌みな奴らだ。
で、彼らの生態としては、ノートPC以外に、次の点が共通しています。

・SuicaによるICリーダの読ませ方が都会的で洗練されており(あるいは他者から「洗練されている」と思われるような形で読ませることを意識しており)、しかも使用媒体は大抵はカードではなく携帯である。
・紙の切符をグリーンアテンダントに提示して席を確保する奴がいると、そいつをちらっと見て顔を顰める。
・リクライニングは絶対倒さず、逆にリクライニングを倒す奴がいると、そいつをちらっと見て顔を顰める。
・リクライニングをやや倒す程度であれば顔を顰めて終わりだが、思いっきり倒す奴がいると、それをはっきりと見て肩を竦めて苦笑する(場合によっては、顔見知りでもない(2)な奴ら同士で、肩を竦めあい、苦笑しあって、同志感を共有する)。
・車内では絶対に飲食しないが、飲食している奴がいると、そいつをちらっと見て顔を顰める。
・飲食していても、それがコーヒー程度であれば顔を顰めて終わりだが、ビールや日本酒等を呑んでる奴がいると、そいつをはっきりと見て肩を竦めて苦笑する(場合によっては、顔見知りでもない(2)な奴ら同士で、肩を竦めあい、苦笑しあって、同志感を共有する)。
・車内では(どれだけ睡魔に襲われていても)絶対に寝ないが、寝ている奴がいると、そいつをちらっと見て顔を顰める。
・寝ている程度であれば、顔を顰めて終わりだが、鼾を立てて爆睡している奴がいると、そいつをはっきりと見て肩を竦めて苦笑する(場合によっては、顔見知りでもない(2)な奴ら同士で、肩を竦めあい、苦笑しあって、同志感を共有する)。
・時折通り過ぎるグリーンアテンダントの事は絶対に無視をし、グリーンアテンダントに到着時刻を訊いたり、飲み物を買ったりする奴がいると、そいつをちらっと見て顔を顰める。
・車内では仕事しかしないが(或いは仕事をしている振りしかしていないが)、仕事をしてなくてスポーツ紙や週刊誌とか読んでいる奴がいると、そいつをちらっと見て顔を顰める。
・読み物がスポーツ紙や週刊誌程度であれば、顔を顰めて終わりだが、東スポや週刊大衆を読んでる奴がいると、そいつをはっきりと見て肩を竦めて苦笑する(場合によっては、顔見知りでもない(2)な奴ら同士で、肩を竦めあい、苦笑しあって、同志感を共有する)。
という感じです。

要するに(2)な奴らは自分たちの事を、
「俺たちって都会的で洗練されてるしさ、カイシャではそこそこの地位にあって仕事熱心で、毎日通勤では往復とも経済的に痛みを感じる事なくグリーンを利用出来るもんね」
と考えています。

だからワタクシはその逆をやってみたかったのです。
(2)の奴らを阿鼻叫喚の奈落に突き落としたいのです。

普段、上記(1)(3)(4)の方々は(2)な奴らに対し、篦棒に遠慮しています。
特に(3)(4)の方々は、たまの休みに少し贅沢をして、グリーン車で寛ぎながら「午前中だけどまあいいか、せっかくのお休みだし、一寸ビールでも呑みながら朝ご飯でも食べるか」というシチュエーションにわくわくしている感じだと思われるのですが(私もそう)、実際乗り込むと乗客の大多数を占める嫌みな(2)な奴らの禁欲的且つ上から目線的な姿勢に気圧され、その「グリーン車で朝から生ビール」的な、誠に小市民的極めてささやかな幸せへの想いは無惨なほどに砕かれ、到着駅のホームで生温くなったビールでもって弁当を使わざるを得ないという哀れな有様です。

そんな彼らに成り代わり、儂が今こそ、儂が今こそ(2)な奴らに鉄槌を下すのだ。
声なき声を、今こそ(2)な奴らに叩き付け、奴らの妙なプライドを粉砕するのだ。
わはははははははははははは。

2010-07-11

栃木の百貨店 福田屋を一方的に褒め讃える

先日の、関東某所を目的もなくただ歩くという個人的イベントの際、ついでに(といっては距離が長過ぎますが)栃木に行ってきました。
当初の目的は栃木に行くというよりは、湘南新宿ラインに乗りたいというものでした。
で、栃木に着き、いろいろほっつき歩いたが、その中でも素晴らしかったのが福田屋でした。

当日は薄着でしたが、現地に着くと何となく肌寒かったので羽織るものが欲しいと思いました。
JR栃木駅構内に観光案内をしてくれている女性がいたので、この辺にユニクロとかある?って訊いたら、車でしか行けないくらいに遠いと言われました。
そんなに遠くちゃ面倒だし、まあ歩いているうちに洋服屋さんのひとつやふたつはあると思ったので、そのまま歩き始めました。

栃木市の街は結構風情に溢れており、川縁に立つ教会や公園など見学し、道端でせんべいを買ったりしていろんなポイントで楽しむ事が出来ます。
楽しみながらも洋服屋さんを捜してあっちこっち行ったり来たりもします。
で、あっちの路地やこっち町の裏っかわ表っかわを観察していると、出し抜けな感じで出てきたのが、福田屋でした。
栃木市に百貨店なんてあるとは思っていなかったので(失礼)ビックリしました。
で、早速入ってみました。

素晴らしい!

まず接客。
確か3階にあった紳士洋品売り場で薄手のパーカでもないかと思って捜していると、暫くその私の様子を眺めていたと思われる女性店員が、決して押し付けがましい態度ではなく近づいてきて、適切なアドバイスを貰ったです。
カノジョの勧める商品は決して高いものではなく、かといって在庫処分を急ぎたくなるような粗悪なものでも勿論なく、満足しました。
「とてもお似合いですね」の言葉も形式だけではなく、心がこもっているように感じられ、それが本人の資質なのか、百貨店の研修の成果なのかわかりませんが、兎に角好感が持てました。

次に1階が素晴らしいです。
知らない場所を歩く時には、私はカップ酒が欲しくなります。
先程素敵な店員さんから買った新しいパーカを早速羽織って、食料品売り場のある1階に行きました。
そしてやっぱり嬉しくなりました。

豊富な品揃え、百貨店とも思われない地元スーパーチックな値決めに嬉しくなったのですが、そのレジの真横に、マックスファクター・資生堂・オンワード・宝石店等が並んでいるのです。
これはアバンギャルドだ。
マックスファクターで超高価な化粧品を品定めしているご婦人客の鼻先に漂う食料品の香り、明日のパーティーに付けて行くダイヤモンドの指輪を捜している客の横で、カップ酒を選ぶ中年男の姿(私)。
いや、これはけっしてバカにしている訳でなく、単に「いいなあ。いい風景だぞこれは」と感じただけなのです。

通常、百貨店の食料品売り場は地下に設置すると思うのですが、何らかの事情で地下階を造れなかったのでしょう。
1階と言えば百貨店の顔だから、やはりその全面積に高級ブランドを持つテナントに入ってほしいと思ったのでしょうが、一方で近隣から来るなじみのお客さんを大事にしたい。そのためには1階に食料品売り場を造りたい。
そのダブルバインド問題を解決するため、状況を単純に足して2で割った答えがこれだった訳です。

食料品売り場と高級テナントの堂々たる同居。

それを臆面となく、顧客第一の姿勢でやってしまう福田屋の決断力は素晴らしいです。

そんな福田屋には、私みたいなヨソモノから見ても、何となく街のみんなに好かれている感があります。




栃木の地に厳然として立つ福田屋百貨店
青空に○福のマークがよく似合う





















同じような画角で申し訳ないが、その厳然さをしつこくしっかりと皆さんに伝えたい
















福田屋には、自らのテナントとして100円ショップを招聘してしまう、型破りかつ柔軟な経営を行える革新性があると見た
利用客の利便とは何か、真のサービスとは何かを知っているからこそ出来る荒技
















栃木市も、街のご高齢者も、みんな福田屋が大好きだ















こんな訳で、僕は栃木が大好きになってしまいました。
また福田屋で買い物がしたいなあと思います。


(*)私はユニクロも大好きだが、こと栃木の地に来た時、どっちを選ぶか訊かれたら、間違いなく福田屋と答えるであろう。

中年の大暴走その2 <謎の関東某所を放浪する9>

前回は久しぶりに「独りよがりな妄想モード」に突入してしまい、ご迷惑をかけた。
ご迷惑ついでに、出し抜けだが、今回のプチな探検はこれにておしまい。
相変わらずの意味なし駄文だったが、知らん所のふつーの場所を歩くのも楽しいと解った。
…訳はない。
全然楽しくなかったし、なぜこんな意味のない放浪をしたのか、未だに自分でもよくわからんのだ。
ということで、失敬する。
みんな、達者で暮らしてくれ。


以下おまけ。

道すがら見つけた庚申搭



















「しぇー!」に見えるのは、多分私が老眼になってきたせいだと思いたい


















達筆である。達筆すぎて最初読めなかった
















道すがら見つけたロータスヨーロッパ。
画像小さくてごめんなさい。
十分現役の様子。
かっちょいいなあ、欲しいなあ。

中年の大暴走その2 <謎の関東某所を放浪する8>

トンネルを出ても、無心に歩き続ける。

近くにある歩道橋の手前に、こんな注意書きがあった。
しかも結構沢山貼ってある。















「痴漢の出没地点/この歩道橋の上で露出狂が七月十一日(水)午前(ママ)七時過ぎ出没しました/○○○生徒は十分注意をしてください/○○○立○○○学校」

周囲を見渡すと、近くに比較的大きな道路が走っている割に、ここだけが妙にひっそりとして人目に着かない感じである。
確かに痴漢好適地の条件を整えているように思われる。
近隣学生の皆さんには、ぜひ十分にご注意いただきたいものだが、しかし私が言いたいのはそのポイントではない。

某年7月11日(水)<曜日と日付の関係からすると、今をさかのぼる事25年前、恐らく1995年の事だと思われるが>、ここに独りの痴漢が現れた。

夕方、或いは夜の話ではない。
朝7時過ぎの出来事である。

尋常ではない。
朝である。
朝と言えば、
「あーたーらしいー朝がきたー きぼーのあーさーだ」
であったり、
「あーさはどこからくるかしらー あのうみこえてくもこえてー おとぎのくにからくるかしらあ いーえいえそーではありませんー そおれは あかるい仮定からあーさーはくるくるあさはくる おっはよー おっはよー」
等という明るく希望に満ちたイメージである。
その爽やかな朝の光と清浄な大気の中、この痴漢は現れた訳だ。
朝靄を突いてな。
誠に勤勉、篦棒に見上げた野郎である。
正に文字通り「漢(おとこ)」である。

漢は今、回想している…

あれから25年…
時間は風のやうに、夢のやうに流れて行ったよ…
あのとき35だった私も、今年でもう61になる。
既に老境に差し掛かり、死んだ連れ合いの仏壇に水を供え手を合わせる事だけが愉しみだ。
若い頃、あの朝の歩道橋で犯した深い罪を、背中に背負いながら生きてきたこの半生。
あの歩道橋を通りかかる度に、心が疼く。
すまん、当時の女子生徒よ。
本当に反省している。もうすこし世間並みなサイズであったらよかったが、小さかったことが唯一心底悔やまれるよ。

いや、違うよ。
あんた、誤解しないでくれ。
深く反省しているんだ。
今はもうそんな事はしていないよ。
決してしていない、するもんか。

あの歩道橋だけではな。
 

中年の大暴走その2 <謎の関東某所を放浪する7>

さて、トンネルも終盤である。















出口からの光が眩く輝き、刑期を終えた893の下っ端がシャバに出てきたときもかくやと思われる程だ。
あともう少しだ。
外見的には無味乾燥っぽく、ただ歩く。
































ということで、トンネルはこれにて終了。
出発点まではもうすぐだ。

中年の大暴走その2 <謎の関東某所を放浪する6>

謎な「わかめちゃんポイント」を背にして、車の轟音鳴り響くトンネルをとぼとぼ歩く。
すると出口が見えてきた。















ちなみにこのトンネル、ここまで結構長い距離だったが、車道部分を走る車はめちゃくちゃ沢山あるけど、歩道に関しては、すれ違うヒトもうしろから抜いて行く自転車も、一切なし。
「群衆の中の孤独」「大都会の孤独」と似たような孤独を感じる。

さあ出口か、と思って外に出る。
トンネルの情報を書いた、なんていうんだろう、鉄製のプレートみたいなやつを捜すと、あった。















どうやら私は、929mという距離の暗闇を、とぼとぼ歩いてきたようである。
内容のない、暗い充実感が私を満たしてゆく。

で、すぐまた次のトンネルだ。















おひさまの明るさに、たじろぐような、それでいて心休まるような感覚を受けたので、またすぐにトンネルへ入って行くのに僅かな抵抗を覚える。
しかし、わたしの今日の努めは歩く事。
せめて、次のトンネルがどの程度の長さなのか知ろうと、例のプレートみたいなの捜すと、あった。















295m。
楽勝だ。
約1kmものトンネルをかいくぐってきた歴戦の強者にとってこれしきの距離は、正に稚戯に等しい。
まかせとかんかい。

ちなみに、この二つのトンネル。
担当している土木事務所は同じなのだが、施工業者(いずれもJV)は全然違う。
竣工時期は略同一だ。
だったら、業者を分けないで2本一度に工事を進めた方がコスト的に可成り有利だと思うのだが、まあいいや。
この辺については、れんほーさんに任せるがよいのであろう。

トンネルに再突入し、 とぼとぼ歩く。
心には、特に躍動感のようなものは感じない。
無心に歩く。
するとやがて、こんな表示が出てきた。















以前、上野から北斗星に乗り北海道まで行った時の事、青函トンネルの壁面に、どんな仕掛けかは知らないが「ここまで本州・ここから北海道」みたいな電光表示みたいなのが出て、甚く感動した事がある。
それに比べりゃ随分劣るものの、ある一定の感動はそれなりに感じる。
今まさに、私は町境にいるのだ。
さらに、この地点が町境であるという事を知って感じているのは、このトンネルの中にいる人間のうち、恐らく私だけという優越感が、私の頬をだらしなく緩ませるのであった。

気を引き締めて歩きを再開する。

で、これを見てほしい。
















天井部分をよく見てほしいのだが、手前は白っぽく、暫く先は黒っぽく、更にその先は再び白っぽくなっているのが解るだろうか。
写真では、トンネルがずーっと先まで続いているように見えるが、実は真ん中の黒い部分はトンネルではなく、シェードなのだ。
さらにこれを。
その黒い部分には、















川である。
つまりここは、トンネルではない。
橋なのだ。
わははははははは。
このトンネルを通り抜けたことのある車は、どのくらいになるのだろうか。
累計でいけば、ひょっとしたら何千万台とかかもしれない。
しかし、そいつらのうち、この部分がトンネルではなく橋であることを知っているのは恐らく1%にも満たないのではないか。

再び、暗い満足感が私の頬をだらしなく緩めるのであった。
ふふふ。

2010-07-10

中年の大暴走その2 <謎の関東某所を放浪する5>

ずんずん歩いている。
で、またトンネルだ。
しかし今度のトンネルは、今までのトンネルとは違い、馬鹿でかくて、迫力は篦棒にある。















今までのとは違い、近代的だし、入口部分のデザインも何だか凝っている。















 















だんだん近づく私。
早速進入してみよう。
中に入ると、轟音とともに車が走り去る。
写真では、オレンジ色の光が満ちているように感じられるが、実際には足下は意外に暗く、心なしか「ぶわぶわ」な地面を歩いているような不安定さを感じる。
















(心理的に)ぶわぶわ感のあるトンネルの道を歩きながらふと横を見ると、















出た。
わかめちゃん。

トンネルの、排気ガスに煤けた壁面に大きく走り書きされた、わかめちゃん。
それを書いた男、もしくは女の心はいかばかりであったろうか?
張り裂けそうになる胸を抑えつつ、魂で書いたに違いない。
わかめちゃん、と。

或いは、先頃アメリカから母国に強制送還されたスパイの仕業かもしれぬ。
彼ら彼女らは、実は日本にも来ていたのだ。
「○○トンネル南側入口より267m入った地点に暗号で伝言を残す。
それを確認したら、予定通り仙台に飛べ。
その後私が消えても、決して捜すな。
いいか、私の命よりも、我々が果たすべき使命の方が遥かに大事なんだ」
みたいなドキドキなストーリが隠されているのかもしれぬ。
わかめちゃん、の6文字にはな。

中年の大暴走その2 <謎の関東某所を放浪する4>

飽きもせず歩く。
実はこの辺に、「なかなか辿り着けない事で有名な超秘湯」である○○温泉があり、私も何回かトライしたのだが未だに行き着く事が出来ていない。
しかし、今回は入浴ではなく歩くのが目的なので、敢えてそこには足を向けなかった。

で、再びトンネル。
もしや、とは思ったが予想違わず、そのトンネルもやはり天井と言わず壁と言わず白い書き込みだらけであった。
こんな具合だ。















































最後のやつなんか、ぎっしり感が凄い。
補修工事の目的とも思われるが、何か深い不気味さを感じるのは何故だろうと思う。

中年の大暴走その2 <謎の関東某所を放浪する3>

まだ歩く。
テレビでは地井武男氏が地元の人たちや出来事と楽しくふれあいながら歩いているが、私はただ歩いているだけである。
楽しい事は何も起こらないし、ヒトとの出会いも(ラーメン屋のオヤジを除き)皆無である。
別にそれで構わないと思う。

比較的田舎だと思われるこのエリアだが、歩くといくつか店があり、歩きながら見るとそれらは何となく好ましく感じられ、時間があれば入ってみたいと思う。
ただ、先程怪しいオヤジの手によるラーメン・餃子・ビール×2を既に摂取済みなので、ただ眺めながら通り過ぎて行く。

こんな喫茶店があったり、

















こんなおそば屋さんがあったり、
















あと、手焼せんXい屋があったり…
あんた、このXの部分読めるかい?
















個人的に私はこの文字の事を「蕎麦屋体」と命名しているが、蕎麦屋や鰻屋以外のカテゴリで見たのは初めてだ。

あとこれは店じゃないが、

















こんな可愛い懐かしいポストが日陰で休んでたりする。
それを眺めながら、まだ歩く。

中年の大暴走その2 <謎の関東某所を放浪する2>

更に歩く。
暫く歩くと、トンネルが見えてきた。
このエリアには意外にもトンネルが多い。
なので、そのトンネルに入る前に写真を撮ろう等とも思わなかったので、外からの写真はない。
その日は少し暑かったため、涼しいトンネルに入ると気持ちがよかった。
気持ち良いついでに廻りや天井を見回すと…















うーんと、解りにくい写真だが、トンネルの天井である。
白い文字で何かが書いてあるのが見えるだろうか。
写真では解らないが、トンネルの天井全体に、ぎっしりとは言わないものの、結構な密度で数字や文字が書き付けてある。
何となく不気味さを感じ、早々にそのトンネルからは退散した。
何となく恐かったため、撮った写真はこれ一枚。
何処かで見たような風景だと思ったが、可成り以前に見たトマソン関係本の中にあったのを思い出した。
それは、全体に意味不明な文字が正にぎっしりと書き込まれてたアパートの写真で、ばい菌かなにかに集られたかのイメージがあった。
それに似ていたので、不気味さを感じたのだろうとおもう。

中年の大暴走その2 <謎の関東某所を放浪する1>

筆者はどうも水窪エリアに飽きたらしい。
趣向を変えるため、先日行ったプチな冒険を紹介したい。
関東方面某県の某エリアを、意味なく歩いて一回りするという全くシンプルかつ金のかからない冒険である。

スタートはここ。
とある温泉である。















看板に偽り有りであり、「足湯」と大書されているのにも関わらず、営業はしていない。
ただ、温泉スタンドのみは辛うじて稼働している様だ。
ここからてくてくと歩き出す。


歩いている道は、全くどうってことない、どこにでもある、何の変哲もない、まるで私の人生のような道である。















べつに面白くとも何ともない。
ただ歩いている。

そのうち、こんな店が出てきた。















皆さんは「何だオマエ。昼間っからラブホっすか。こっ恥ずかしい野郎だな」と思うかもしれないが勘違いしてはいけない。
私が言っているのは、その「サービス充実!!24時間OK***** 宿泊キャ*****」と書かれた青い体験、もとい、青い看板のうしろにある店である。
見た通りのラーメン屋だ。
もう少し近づいてみよう。















何の前知識もなく、ふらっと入ってみると、中にはオヤジが一人だけいて、ニヤニヤといやらしく笑いかけてきて「はいどーも、どーもね」と声をかけてくれた。
怪しさ満点である。
私はこういうタイプの店が本当に大好きで、カウンターに腰掛けたとたん、深い心のやすらぎを感じた。
で、早速豚骨カレーラーメンとビールを摂取したが、これがなかなか美味かった。
なかなかというか、はっきり言うと頗る美味かった。
更に餃子とビールを追加し、ふかああぁぁぁぁあく心がやすらぐのを感じて店を出た。
侮れない店である。

気になったので、帰宅後この店をググってみたら、
「いつも客がいないが、商品はダイジョウブか?」
「いつ潰れるかと思って見ているがなかなか潰れない」
「向かいのラーメン屋よりは確実に美味い」
「店員はオヤジ一人なのに定休日がなく、1年365日午前11時から深夜まで開いているが、ひょっとしてオヤジは超人か」
等という記述を見つける事が出来た。
いい店である。
お勧めします(*)。

はす向かいにはこんなカレー屋もあり、これもなかなか評判がよろしい様だ。















夜には飲み屋さんにもなるそうで、今度行ってみたい。

ということで、私は更に歩いて行くのであった。

(*)2010/9/8補足
その後の情報によると、このラーメン屋の怪しい主人は、私が訪ねたあと暫くしてから、何人ものサツの手によりパクられて連行されてしまったらしい。
パクられた理由は解らない。
その後暫くはシャッターが降りていたが、現在は「借り主募集」だか「販売中」と書かれた紙が貼ってあるとのこと。
残念な事だ。