皆さん今日は。
本編中の何箇所かで触れた「独特のフォント」に関して、実例を示しながら検討してみたいと思います。
実例を挙げましょう。
これです。
ややピンが甘くて申し訳ありません。
これが問題の「独特のフォント」です。
かなり独特の文字デザインである事は解って頂けると思います。
以下行う検討をやりやすくするために、今後この「独特のフォント」を、
「鷲沢体(わしざわたい)」
と命名する事にします。
鷲沢体そのものの特徴や、表示の特徴などについて、ランダムですが少しまとめてみました。
・多くの場合、白地(銀地)に赤い文字、或いは赤地に白い文字で表現されている
・稀に白地に黒い文字というケースも見られるが、黒地に白い文字というのは皆無である
・比較的最近作成された表示の場合、その文字は赤い絶縁テープを使用している場合がある
・絶縁テープで作成された文字がはがれている場合、同色の塗料で補修している場合がある
・文字線の終端を、鉛筆のように尖らせている場合がある
・同一表示内に表記されている文字のサイズバランスが往々にして変である
・文字間が往々にして変である
・「氵」(さんずい)のデザインに特徴がある
・同一表示内に、鷲沢体以外の書体を用いている場合がある
・明朝体の特徴である文字止点に見られる三角の山を取り除いたような感じである
・てか、ゴシック体と教科書体を足して2で割って、ヘタウマを自任するヒトが適当にデザインした感じ
・何だか妙に「ヒトに媚びた」ような、「弱っちい」ような、しかしその割に「威圧する」ような印象あり
鷲沢風穴を取り巻く看板・表示が全てがこの鷲沢体というわけではありません。
比較的年数を経ていると思われるものには、鷲沢体はむしろ使われていません。
これ等は可成りスタンダードな明朝体です。
このタイプのフォントが使われている表示は、鷲沢風穴に至るだいぶ手前、そうだな、浜松大学を過ぎたあたりから暫くよく見られます
これをみてもあまり感動することはないと思われます。
この種の、あまり感動のないスタンダードなスタイルの表示をいくつか並べてみましょう。
でも皆さん、気付きましたか?
スタンダードなゴシック等のスタイルの中に、何となく「鷲沢体」ライクな雰囲気を滲ませている事に。
どうしようもなく、滲み出してしまう「鷲沢体」感覚を、どうしても押さえられない作者の心理状態が見えるかのようです。
鷲沢風穴に近づくにつれ、典型的な鷲沢体ライクな雰囲気を充満させた表示が頻繁に現れ始めます。
可成り複雑なフォント構成です。
左上の「風穴」は習字体(解りますよね)、「名水」は鷲沢体を軟弱化したような感じ、左下の「鷲」は明快に角ゴシック体、「沢」のさんずいは鷲沢体で、旁の部分は角ゴシック、右下の「風穴」は左上のものとはまた風合いが異なり、丸ゴシックにに近い感じです。
なお、写真を一回ぽちっとして頂くと拡大写真に切り替わります。
その状態で、「名水」の「名」の字の「口」の右下をよおくご覧下さい。
皺というか、浮きのような状態になっているのが解ると思います。
少なくともこの「名」の字に関しては、赤い絶縁テープで作られているようです。
同タイプの表示は他にもいくつか見られました。
このように、風穴に近づくにつれ、鷲沢体の影が大気に充満し始めます。
更に少し走ると、こんなんも出てきます。
明らかに、鷲沢体方向に文字が進化しています。
習字体であった左上の「風穴」や、弱っちい鷲沢体であった「名水」は、完全な鷲沢体に進化しています。
また、この表示に関して、もし鷲沢体を良く知らないアマチュアが素直にこれ見たら「鷲シ尺風穴」と読んでしまう危険性をも孕んでいると言わざるを得ません。
敵ながらあっぱれであります。
更に風穴現場に近づきます。
設置現場スペースの関係で、小さい表示しか作れなかったと思われます。
書体は、弱っちい鷲沢体ですが、他に習字体だ、丸ゴシック体だの、別のフォントが混じっていないため、鷲沢体レベルは寧ろ高いと言えましょう。
ついに、鷲沢風穴入口に到達すると、これを見る事が出来ます。
略全ての文字が、完全に鷲沢体化しています。
完全鷲沢体進化の喜びに興奮し過ぎたのか、「鷲沢」が「ワシザワ」になっちゃってます。
鷲沢体大爆発状態です。
私も興奮を抑える事が出来ません。
場内を更に進むと、鷲沢体は遠慮会釈なく我々を攻撃し続けます。
暫くは、素晴らしき鷲沢体の世界をとくと御堪能ください。
正に鷲沢体天国。
もうこの頃になると、きっと貴方も私同様、鷲沢体の存在が、脳内にどっぷりと根を下ろしてしまい、寝ても覚めても鷲沢体に囲まれていたいというヒトになっている筈です。。
会社に行ってWordを使い資料を作成するときも、無意識のうちにフォントプルダウンメニューの中に鷲沢体を探してしまうという体質に変わり切ってしまっていると断言できます。
そんな我々にとどめを刺すが如く現れるのがこれです。
比較的最近設置された表示だと思われますが、ここでの鷲沢体は円熟味さえ備えており、他のフォントの追従を決して許さない態勢にあります。
ここまで円熟の域に達してしまうと、右下の「検査済」というのが、たとえ「店主による毒見では、大きな問題はなかった」程度の意味だとしても、もう許すしかない状態と化してしまうのは、これはもう仕方のないことです。
さらに、これです。
普通、ヒトは、誰かに金を取られるのも、誰かからたしなめられるのも嫌なもので、場合によては喧嘩騒ぎに発展しちゃったりしますが、鷲沢体を通じてであれば、喜びのうちにそれらを受け入れてしまえる気がします。
すげえな鷲沢体。
鷲沢体は、世界経済の繁栄や世界平和の確立に篦棒に役立っているようです。
篦棒にな。
と、このように鷲沢体について、実例を見て頂き、説明させて頂きました。
最後に、これらを皆さんにお見せして、この稿を終わらせて頂きます。
それでは皆様、さようなら。
尚、今後しばらく「H市脱力系観光ツアー」シリーズは続きますので、よろしくお願いします。
(*)
うーん、あと、表示にある、なんて言うの「やじるし」に、鷲沢体の特徴がある。
近年作成されたと思われるものにも、結構年数を積んでいる表示にも、この「やじるし」に関しては、同じようなコンセプトを感じる。
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