やがて車内はそこそこ埋まってきて、多くの乗客が、にほんけいざいしんぶん、とか、にっかんこうぎょうしんぶん(という新聞が日本にはあるらしいが、滅多に見かけないのでよくわからない。少なくとも私の住む中部地方の街では売っていないと思う)とかいう、特殊な職業に就いているある一部の人種しか読まないような新聞を読んでいる。
という事は、この車両には、偶然か必然かは知らないが、特殊な人種が集まっているという事なのかな。
特殊という意味では私も同類であるけれど。
で、相変わらず、みなさん私の事は存在しない存在として取り扱っている様だ。
うん、それならそれで良し。
2本目にかかった残りの缶麦酒をグッと飲み干し(今、まだ朝の8時前)、早くも日本酒に移行する(今、まだ朝の8時前)。
それにあたり、深く倒したリクライニングを更に深く倒し込み、靴を脱いでシートに胡座をかく。
周囲の特殊な人種の皆様は相変わらず、私の事は存在しない存在として取りあつかおうとしているが、この辺から、彼らのほんの微かな気持ちの揺らぎが、私に伝わってきた。
「こいつ、タダの田舎モンじゃねえぞ…。田舎者で、かつ恥知らずで、かつアホで、かつアル中で、かつおっさん。これはまずいテポドン級だ」
その通りだ。
否定はしない。
最高級の讃辞として、有り難く承ろうじゃないか。
しかし、何だ。
私は改めて思う。
にほんけいざいしんぶんな奴には負けられないね、と。
真の強者は、いかに弱っちい敵に対しても決して手を抜かず、完膚なきまでに叩きのめすと聞く。
真の強者である私もそうだ。
如何なる相手にも絶対に攻撃の手は緩めないのが信条だ。
そこで、早速次の武器を背嚢から取り出す中年やさぐれソルジャー。
それは…?
0 件のコメント:
コメントを投稿