初尿

今朝スピッツ(*1)を渡され「明日の社員検診で使うので、これには自宅で初尿を入れて会社に持ってくるように」と指示された。

初尿。

意味が深い。
初尿。
人生で初めて発射する尿の事だ。

「いやあ、私は実に奥手でして、昨日やっと初尿でしたよ、はは」と恥ずかしげに飲み屋で語る３２歳係長心得独身、と言う風景が想起される。
「君ィ、そりゃいかんよワシなんてな…」等と、ぐいと麦酒を呷りながら自慢話苦労話で受け答える油禿げの油臭い上司課長補佐54歳離婚の肖像も同時に想起される。

初尿か…。

しかしおかしいではないか。
私は今28歳だ。
すみません嘘だ。
しかし何歳でもいいが仮に28歳として、その男に「初尿を持ってこい」と言うのはご無体な話ではなかろうか？
私に限らず誰でも初尿は0歳代に経験済みで、その後の排尿はつまり初尿ではない。
何歳でもいいが仮に28歳として、28年前の初尿を持って来いと言うのは、某国首領のまんせー大将軍(*2)様を好きになれと言うのと同じ程度に無理がある。

不可能だ。

今気づいたが、「しょにょう」とタイピングしようとすると「しょにゅう」或は「きょにゅう」と指が動いてしまうのは、自らの不明と恥じるしかないであろう。

明日、私は渡されたスピッツにどんな液体を満たせば良いのだろう。
そもそも、渡されたスピッツを会社に忘れてしまった私は、どうすれば良いのだろう。

(*1)
・1987年に結成された日本のロックバンド。
・犬の種類の一つ。きゃんきゃん鳴く。
・これ。
















(*2)
この男、危険だがある意味見上げた野郎だ。
この男、常に基地の外にいることから「基地外」とも、常に人民の吉を害する事から「吉害」とも言われている。
下に掲げる写真がまんせー大将軍の貴重な写真だが、彼個人及び周辺のプチまんせーどものプライバシー保護のため、画像に修正部分があることを読者諸賢には御了承願いたい。